夏井いつきの超カンタン俳句塾を読んだ感想。一句作ろうかって気持ちになります。

夏井いつきの超カンタン俳句塾を読みました。テレビで辛口添削で有名になってからこの夏井先生大好きなんです。

辛口ですが、愛がある添削ですよね。

言葉を丁寧に扱うってのはこういうことなんだって見ていて思います。

俳句というのは短くて制約があって、それなのにここまでの情景を詰め込めるのかって思います。

でも、イザ自分で句を作ってみようって思ってもなかなか上手くいきません。

この本を読んで、ちょっと作り方がわかったような気がするのですが、気がするだけでするっとまたわかった感が逃げていくような気がします。

でも、ふとした折に、句を作ってみよう!って思うようになったので自分としては読んでよかった本です。

脳科学者・茂木健一郎との対談

夏井先生と脳科学者の茂木健一郎先生の対談が入っています。かなり入ってます。

俳句を作ることは脳にいい!って話です。

制約の中で自分が見たもの、感じたものを表現していくっていうのは脳の機能をフル回転させるのでそりゃ脳にいいでしょうねって思いました。

ストレス発散とかにもなるし、脳は若返るし、いいことしなかないね!って気持ちになりました。

ちょっと残念な点

この本を読んでちょっと残念だなと思ったのは夏井先生の句自体はほとんど収録されていない点でしょうか?

俳句のよみかたを簡単に伝える本なので、作例について夏井先生が語ったり、ちょっと添削したりしている部分が大半で、先生の句はあまり出てきません。

てか、出てきてましたっけ?もう記憶が薄れています。

夏井先生の句が読みたければ句集を買うべきなのでしょう。

俳句を詠みたいという気になります。

この本を読んで、俳句を作りたいなって思いました。

そういう点で、この本はいい本です。作者の意図していることを叶えていると思います。

でも、言葉の使い方って難しいですね。

足らない!!ってなります。けっこう夏井先生は句またがりをする印象があるのですが、やはりあれは基本を十分理解したうえでやるからいいのであって、素人がやるとなんだかなぁってなります。

でもまたがないと足りない!つらい!

ってことで詠んだ句を覚書きしておきたいと思います。

リップ音 富士が触れたる 初日の出

番組で富士で一句か何かがお題だった時のやつです。

正月っぽくめでたく詠もうと思いました。

富士山ってあの山の形が突き出した唇にも見えなくはないなっと思ったわけです。すると初日の出が富士山から出てきてる良くある元旦シーンがキスシーンに見えなくもないなと思います。

地球が太陽にチュッってしてるぞーって句です。

ゴシラ踏む 樹の霜柱 気持ち良し

昔から、山に植林された杉とかひのきを見ていると、整列したその様が霜柱みたいだなって思うのです。

そして、自分が巨人になってあの植林された木を踏んだら霜柱みたいにザクって気持ちいいだろうなーって。

巨大なものってことで映画がとてもすばらしかったガッジーラを思い出したのでゴジラで踏めばいいっかと思いました。

鉢返し ミミズが飛んだ 春の空

園芸が趣味です。

春になると花が咲くので苗を植え替えたりするわけです。

鉢をひっくり返すとミミズが出てきます。ミミズは土を良くしてくれるので殺したりはしたくありませんが、植え替え作業には邪魔です。

なので見つけるとつまんで他の鉢がある場所とか花壇にひょいっと投げます。

土の中にいるミミズが空中をひゅいっと飛ぶことになるので、このミミズが他のミミズに、

「俺って空を飛んだことがあるんだぜ!」と自慢したりしないかな。そして嘘つくなよ!とか言われてないかなって想像します。

癒えぬ傷 君の口から出た氷柱

氷柱がお題だった時に。

冷たくて鋭い言葉に傷つけられた記憶は誰にでもあると思います。

氷は溶けてなくなって、言った人は言ったことすら覚えていなくても傷口は残ってしまうのだと思います。

白化粧 節分豆の大変身

節分がお題の時に。

節分の豆がけっこう好きなのですが、あれすぐに食べ飽きるのです。

何年か前からあの節分豆に砂糖を溶かしたものをかけてリメイクするってのをやりだしてから完食できるようになりました。

砂糖で真っ白になった節分豆は甘くて美味しいです。

鼻ピクリ ぐるり見つけた 梅の紅

車窓からみる梅かなんかがお題の時に。

梅って真っ先に咲いて春を知らせる花のイメージです。

コロボックル物語という私の幼少期にどっぶりはまった物語があるのですが、そこに出てくる不思議な目をした男の子とトモダチになるツムジイことウメノヒコのイメージです。

スンと嗅いだら春の匂いがすると思って見渡すと赤い梅の花が咲いていてにっこりするそんなドストレートな句なのできっと凡人才能なしだなって思いました。

鬼アクマ 苦情蹴散らし 炬燵とる

歳時記を手にとって読んでみたら、炬燵とるが春の季語となっていたのでおもしろいなと思いました。

コタツ大好きなんです。とられたら困る!いつまでも一緒にいたいです。

でも、主婦、お母さんとしてはいつまでも炬燵を出しておくわけにはいかないだろうな。

子供に苦情を言われながらはぎとって春という季節を迎えなくちゃっていうそんな情景を思い浮かべました。

千切りまく 空の欠片か いぬふぐり

オオイヌノフグリ好きです。

この花が咲くと春が来たんだなって思います。とても綺麗な空色の花です。

小さくてとても小さいのに素敵な水色なのです。

あの青空をちぎって花びらにしたようなそんな花です。

へこへこと 許し請う竹 春の風

春は風がとても強いです。

春の風と言われて私が思い浮かべるのはやさしく頬をなでるあたたかい風じゃなくて、花を散らす暴風です。

ドライブ中に風が強くて竹林が大きく揺れていました。

竹がものすごいウエーブをしていて、まるでお辞儀をしているようだなっと思ったのです。

ぺこぺこと誰にそんなにお辞儀をしているのだろう?謝っているのかな?

相手はやっぱりこの強風にだろうなぁ。本当にもう勘弁して欲しい風だなって思いました。

春はここ 明かりを点す 白木蓮

3月11日になると、私は白木蓮を思い出します。

あの日直接の被害を受けたわけではありません。

ただただ入ってくる映像を見ているだけで胸がぎゅっとなりました。

被害を受けたわけでもないのに気分が落ち込んでふさぎこんでしまった時に、花はいつもと変わらず綺麗に咲いていました。

特に、木蓮が美しく咲いていたのを覚えています。

今年は少し開花が遅れていて、膨らんだつぼみと、一番日が良く当たる木の頂上あたりの木蓮が少しほころんでいました。

白い開ききっていない花がまるで闇にともされた明かりのようだと思います。

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